忘れられたものたちへの歌

Walk Away Renee. I Can’t Let Maggie Go. Ruby Tuesday. Thoughts of Mary Jane. What Katie Did. Sorry Suzanne. Dear Eloise, Windy…
ポップ音楽の歴史は、ラブソングで溢れ、歌われたラブソングは女の子たち、女たち、淑女たちに捧げられました。僕はそういう可愛い歌が大好きです。それらの歌は、もちろん僕に何の関係もありませんが、歌に込められた思いはどちらかと言えば普遍性を持っており、そして歌い手たちのたわいない、けれども真摯な独白は、僕の琴線に触れたり、僕を笑顔にしたりもします。
けれど、男は何処なのでしょうか。これら、女性のファーストネームをタイトルに冠したポップソングは、ほとんどが60年代70年代のものです。まだまだ男性優位の時代、男が男社会のなかで女について歌うのは理にかなっているとは思いますが、その後、女性シンガーたちも、男に歌を捧げようとは左程思わなかったようです。そして今、数える程の(自ら公言する)ゲイシンガーたちもいますが、彼らがボーイフレンドや妄想の対象について歌っているのも、聞いた事が殆どありません。僕がここで言うのはあくまでもラブソングであって、Bing Crosby、Jonathan David、そしてSloop John Bの様な歌の事ではありません。
最近New York Times紙上にて、公共の場において男二人がキスをする行為が未だにニューヨークですらもちょっとした混乱を呼ぶ、という記事を目にしました。それは、ここではあまり関係のない事かもしれません。しかし僕には、文化的・倫理的発展の中で、忘れ置き去りにされてしまった小さな事たちが、多々ある様な気がするのです。それらは、些細な事かもしれませんが、やはり変です。
なので、僕は男たちに捧げる馬鹿げた歌をでっち上げる事にしました。

____