蜘蛛の飛ぶところ


木製フォトフレーム, ガラス, ラムダプリント
Dimensions Variable

十代の頃、ショートストーリーを書いた覚えがあります。高い塀に囲まれた町で、男の子が壁を登る蜘蛛を手で払って地面に落とします。毎朝、塀を登る蜘蛛をそうやって落としますが、ある日塀の上にきらめく蜘蛛の糸を見つけます。詳細は忘れてしまいましたが、確かそんな内容でした。今思うとちょっと恥ずかしい稚拙なストーリーなのですが、僕にとって、蜘蛛にはとても自由な側面がありました。

ずっと後になって、「赤い椰子の葉」(目取真俊著)という短編を読みました。沖縄という海やフェンスに囲まれた小さな島のなか、ボクシングに明け暮れる米軍兵で溢れる暴力的な町に住む二人の少年。ある日二人は、森を抜け、海が見える秘密の場所にゆきます。一人は自らの性のめざめに戸惑い葛藤し、もう一人に触れます。もう一人は、驚き拒絶します。

二人はそこで、木の枝から海の方へ、外側へと向かってきらきらと揺れる、蜘蛛の糸を見つけます。

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