登場人物




ケント紙、鉛筆、おりがみ
A2サイズ

『風と共に散る/Written on the Wind』に登場する五人の男たち。少なからず僕の人生に影響を与えた彼らの顔は、思い出そうとすればする程にぼやけてゆきます。写真も、ありません。

忘れたくなかったので、おぼろげな彼らの顔が完全に分からなくなる前に、ポートレイトを描こうと思いました。以前も試みた事のある、ちぎり絵の手法を取り入れ、彼らと対峙してみることにしました。単調かつ極めてプリミティブなちぎり絵は、記憶と向き合う作業にぴたりとあうのです。

しかし、記憶から彼らの顔を描き出せるはずもなく、下書きの鉛筆の跡がただ汚く重なってゆきます。おりがみの断片を重ねれば重ねる程にずれが生じます。そこで僕は、ポートレイトの部分のおりがみを全て剥がし、背景だけを残す事にしました。ぽっかりと抜け落ちた空間には、彼らを形作っていた色の断片や、表情を近づけようとする僕の鉛筆の下書き跡が残るだけで、テクニカラーの映画のように必要以上に色鮮やかな背景が、主体の不在をことさらに強調します。しかし不思議と、そのぼやけたシルエットが僕に彼らを強く思い出させます。

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