「エイズ危機時代のアメリカにおけるクィアの表現とその可能性」

「ゴンザレス=トレスの美学における基本単位は「二」であり、重なりあい、連なっている。孤独は、「一」として表されることはなく、常に「二」の不在として立ち現れる。だからこそ、彼の作品はカップルという美術史上における主要 モチーフの表象において、重要なのだ」Nicolas Bourriaud, “Relational Aesthetics” (les press du réel, 2002)
そう語ったのはニコラ・ブリオーというフランスのキュレーターで、彼の「関係性の美学」はアーティストや批評家たちに大きな影響を与えたけみたいだけど、僕はゴンザレス=トレス作品の「二の不在」についてのテキストばかり読み返している。僕は、二組のティーカップとソーサーを持っていた。どちらも安物で銘柄も色も形も違うけれど、映像作品に使ったり、気に入っていた。カップのうちひとつは2011年の震災で棚から落ちて割れてしまい、もうひとつは何でもない時に落として割ってしまった。今はどちらもソーサーしか残っていないくて、テーブルクロスにはまだ二つほどの染みが残っている。

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“American Boyfriend”関連イベント
「エイズ危機時代のアメリカにおけるクィアの表現とその可能性」
笠原美智子、千葉雅也、ミヤギフトシ
2012.8.4 (sat)
at VACANT

80~90年代にかけエイズ危機に覆われたアメリカ美術界で、セクシュアルマイノリティのアーティストたちは誰に向けてどのような表現を行っていたのでしょうか。デイヴィッド・ヴォイナロヴィッチやフェリックス・ゴンザレス=トレスをはじめとしたセクシュアルマイノリティの作家に顕著な「抗い」や「哀しみ」という時代特有の表現を再考しながら、彼・彼女らの手法は、セクシュアルマイノリティによる表現がいまだ表面化しづらい日本においてどこまで可能か、ともに見てゆきます。

スピーカー:
笠原美智子(東京都写真美術館チーフ・キュレーター)
千葉雅也(研究者、批評家)
ミヤギフトシ(現代美術家)

聞き手:
江口研一(編集者、ライター)

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