What I Meant Was



Video
Duration: 3min

Macのコンピューターにはミュージックタイピングという機能(GarageBand)があり、それをオンにすると、キーボードが疑似鍵盤になります。もちろん、音の並びも不自然で、1オクターブしか出せない、と制約だらけではありますが。

そのミュージックタイピングでメールを書きました。文面は、訳の判らない記号で埋められてゆきます。メールでこの文面を送っても、送られた相手に音楽は届かない。届くのは、ぽつりぽつりと単音で奏でられる下手なバッハ。

What I Meant Was (2010), Excerpt from Futoshi Miyagi on Vimeo.

Raise The Curtain



レースカーテン
Dimensions Variable

落ちてしまっていて何の役にも立っていないカーテン。ウェブという、プライベートとパブリック、自己顕示欲とのぞき趣味が、ぼやけた世界。カーテン、幕が強引に上がり、または引きずりおろされ、自分だけの世界から、突如もっと広大なスペースの中へと放り出される様な場所。そこでは、どちらも外側になってしまい、両側にいる全てのものが、強制的に主体となってしまいます。

Old Picture (Bed)


インクジェット紙に水彩
サイズ:A4

インクジェットで印刷したマシューの写真。リアリティとヴァーチャルの中間にいる彼の写真を印刷しても、それは虚像にしかなりません。まるで、古い時代のモノクロ写真の様に、説得力と同時性が無い。そこで僕は、昔の人がそうしたように、写真に色を足してみることにしました。絵の具を塗り重ねる程に、彼「らしさ」に近づいては、また遠くなります。これ以上イメージからかけ離れるのは嫌だったので、僕は途中で色を足すのをやめました。しかしながら、その中途半端で下手な手塗りの写真は、僕にとって、ただのインクジェットプリントよりも、よほどリアルでした。

ずっと後で、プリントのインクが色あせたとき、もしかするとこの写真はある一枚の絵になるのかもしれません。

(We Exist in) A Tent



DVDプレイヤー、モニター、ヘッドフォン、ベッドシーツ、テント骨組み
Dimensions Variable

ビデオチャットは、プライベートでありつつ全てが筒抜けで、妙な心持ちになります。まるで、テントの中にいて、外に誰かいるような。

マシューからのコールは、いつも真夜中にかかってきました。イギリスの真夜中は、東京の朝。僕はまだ起きたばかりだったりします。カーテンの無い部屋では、朝日が強く差し込むので、スクリーンの向こうが上手く見えません。僕はベッドシーツをテント代わりに頭から被り反射を押さえようとします。

ベッドシーツで作られたテントの中では、マシューがフルートを惹いています。しかし、プレイヤーはテントの中で、外からはおぼろげな像と光しか見えない。音も、テントの中のヘッドフォンからわずかに聞こえるだけです。見えそう、聞こえそうだけれども、何一つクリアには判別出来ません。夜のテントに浮かぶ影のように。

After the Tea

東京タワー




破れたポストカード、クリップ、ピン、グリッター
Dimensions Variable

Untitled Photograph 1




露光されたフィルム、造花
Dimensions Variable

持っていた最後のフィルムカメラを売りました。昔は、幾つかフィルムカメラを持っていましたが、だんだんと数が減り、最後の一つもなくなってしまいました。その最後のカメラを売るとき、まだ中にフィルムが入っている事をしらず、カバーを開けてしまいました。フィルムの一部は、光を浴びてしまいました。イメージも消えました。でも、そこにあったイメージが何だったのか、僕は思い出せませんでした。

フィルムの巻き方すら忘れてしまっていた様で、適当に抜き出そうとした為、カセットの中に入っていたフィルムまで出してしまい、全てダメにしてしまいました。

露光されたそのフィルムは、しばらくどうして良いか分からず、捨てることもできず、テーブルの隅に置いていました。そのうち、それは、同じくたまたまそこに置かれていた造花用の花瓶のように使われ始めました。それらは、良い静物画を作りました。

その不思議なフラワーアレンジメントは、僕の机に置かれ、僕が思い出せない記憶を思い出させようとしていました。光が記録し、そして光がさらりと消してしまった記憶。

宝の地図があった場所




紙、色鉛筆、トイカプセル、
Dimensions Variable

でたらめの宝の地図をいくつも作りました。宝のありかは、今は米軍基地の敷地内です。そもそも宝ものなどそこにあるわけもなく、こっそり宝物を埋めに行く事すらままなりません。フェンスがあるし、不発弾の心配をする大人もいる。もしかしたら、そこにあったかもしれない宝物や、もしかしたらそこに隠されたかもしれない宝の地図。 奪われてしまった、無邪気ないたずらたち。

両親への贈り物(未発送)



デジタルプリント、フレーム、便せん、梱包材(エアパッキン)
Dimensions Variable(写真サイズ:A3 x2)

今まで、母の日や父の日のたぐいは全て無視していましたが、ふと思い立ち、今年は贈り物をしようと決めました。母の日は過ぎてしまっていたので、父の日に間に合わせて二枚の写真を撮りました。花を送るのは面倒だし嫌だったので、花の写真を撮る事にし、母に電話で、「贈り物があるよ」と伝えました。

結局送ることはありませんでした。

「贈り物って何だったの」数ヶ月後母は言いました。僕は、またいつか、と曖昧な返事をしました。言わなければいけない事は山ほどあったのですが、また先延ばしになってしまいました。

風と共に散る


Pencil on Paper
Dimensions Variable
今までの人生を振り返り、自伝を書いてみました。

記憶をさかのぼって見つけた一番遠い記憶は、はたしてそれが自分の記憶なのか、人から聞かされたものなのか、または写真から得た情報なのか、見当もつきません。もしかすると昔観た映画や読んだ小説と記憶が混同してしまったかもしれません。まとまりのない記憶をほどいて、一つの物語を紡ぎだそうとしても、時系列は混乱しており、また、断片断片が独立していて、つないでゆく事もままなりませんでした。

そんな記憶の曖昧さがあり、虚栄心や嘘があり、そして偏重した自分自身がいる。そこから、どんどんと現実を離れた、安っぽいメロドラマが紡ぎだされてしまいました。オリジナリティのない、面白くない物語でした。ばかばかしくなった僕は最終章にでたらめのストーリーをでっち上げて物語を完結させ、風にまかせるままにしました。ばらばらになって、そこから拾い上げたちいさなものから、何かへと広げてゆく事ができれば、それはそれで建設的なのかもしれません。