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2018年09月22日(土)

会場: XYZ collective
会期:2018年9月23日(日)-10月21日(日) 14:00 – 19:00、月・火・水は休み
レセプション: 2018年9月23日(日) 14:00-18:00
出展作家: 朝海陽子、キム・ジンヒ、スコット・トレリーヴェン、エミリー・ワーディル、乗代雄介

二度目となるAmerican Boyfriend企画のグループ展をXYZcollectiveにて開催いたします。

男性間の同性愛行為が禁止されていた時代の男同士の関係を描いたE・M・フォースターの小説『モーリス』の物語、またフォースターの生前それが英米の知人らのネットワーク内で読まれていたということなどから着想を得た、閉じた場で行われる行為やそこで育まれる関係に焦点を当てます。

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フランスの村で実際に起きた謎の火事事件をもとに、避難を拒み閉ざされた部屋に残ろうとする女性を描くエミリー・ワーディルの映像作品「No Trace of Accelerator」。かつて親密な関係にあった誰かから誰かへと宛てられた古い葉書を写真に写し、裏面にあった文章の断片をまるで暗号のように刺繍でおもて面に浮かび上がらせるキム・ジンヒ「Letter to Her」シリーズ。90年代のトロントで、クィアジン「This is the Salivation Army」の出版・流通を通して世界各地と繋がったスコット・トレリーヴェン。居心地の良さげな部屋の中で、映画を観る人々の様子を写真に写す朝海陽子「Sight」シリーズ。これらの作品のほか会場では、なにもかいて残さず死んでしまった、親しかった叔母とふたりだけで過ごした一日の繰り返しを試みる主人公を描く、小説家・乗代雄介の新作短編作品も配布いたします。

外の世界からは切り離された場所で生まれる関係や行動が、外に流出することなく止まり、豊かな、充足した関係となる。または暴力を生み出す。その関係や行動は、隠れることを余儀なくされたことかもしれないし、あるいやささやかすぎて、外に知られる必要すらないことかもしれない。閉じた場所で起こることの多くはそのまま人目に触れられることなく、世界に影響も与えない。与えないはずなのだ。それでもそれが晒され、時代によっては罪となりもする。でも時に、思わぬ形でそれがある種の希望として誰かの目に留まることもあるかもしれない。

ミヤギフトシ、2018年9月

*エミリー・ワーディル「No Trace of Accelerator」(49:23)は毎時00分頃スタートします。

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