Unused Welcome (with Dust)

2007年、東京に引っ越してきたばかりの私は知人に連れられて行った新宿二丁目で、バーの扉に会員制の札を見つけて、疎外感を覚えた。守られる人がいる一方でこの場所から弾かれてしまう人もいるのではないかと、妙な、いくらかアメリカかぶれした正義感にかられた。そうして思いついたのが、手作りの「Welcome」サインを作って、いろんなバーを訪ね、店主と話して、サインを渡す、というものだった。使うのも、使わないのも自由。コミュニティとの繋がりを持ちたいという思いもあった。ひとつめのサインを作り終えて(ヒートカッターで文字を切りだしていたら数日かかった)、コミュニティのことをよく知るアーティストにコンタクトをとって、相談してみることにした。初めて会ったその人は、やってみると良いのでは、と言ってくれた。色々と話をし、その寛容さを受けて、私は自分の不寛容さを思い知った。やはり、守るべき人を守ることは必要で、自分は身勝手なことをして誰かを傷つけようとしている。結局、サインはひとつ作っただけで、プロジェクトも始めないままだ。このサインがあっても誰も傷つかない、不器用な切り文字を笑ってくれる人たちのいる場所に掛けてもらえたらいいと願っている。